大宮が石原と東の得点で甲府に快勝した。
大宮はショートパスをつなぎ、流動的に好機を作った。前半13分、上田、東を経由し、石原が右足で先制点。25分に同点に追い付かれたものの、その4分後に杉山の右クロスから東のヘッドで勝ち越した。後半2分には東がダメ押しゴールでチーム3点目。シュート計19本を放つ攻勢を、粘り強い守備が支えた。
■「また帰ってくるぞ」
ラストマッチ終了のホイッスル。藤本は両手を握り、天を見上げた。オレンジのユニホームにキス。「ありがとう」。そう、告げているようだ。愛情深い拍手とコールを受け「大宮の魂・藤本主税」がチームを去る。
ベンチスタートだったが、ウオーミングアップへ先頭で飛び出した。主税コールが背を押す。早くも涙がこみ上げた。こらえきれず「泣きそうになったんだけど」と深谷につぶやく。「まだ早いですよ」と深谷。グッと我慢して試合に備えた。
3-1の後半19分に満を持して登場。仲間が藤本へ球を集めた。得点を決めてほしい一心で。「ひそかに阿波踊りを狙ってたんだけど。みんなが意識してくれた」と感謝。30分には石原のクロスからシュートを放った。
大宮に移籍した2005年のファン感謝デーは学校が会場だった。あまりの人の少なさに、「100人くらいかな。イベントかと思った」。それが今や4千人を超えるように。「成長してるよね」とうれしそうに笑った。
仲間も藤本との思い出は尽きない。長くシーズンをともにしてきた金沢は「厳しい状況でも鼓舞して、引っ張っていってくれる姿を何度も見てきた」。橋本は「常に先頭で声を出して盛り上げてくれた。尊敬している。正直なところ、もっと一緒にやりたかった」と別れを惜しんだ。
試合後に場内を一周。手をつないで歩いた7歳の長男に「転校するの嫌じゃないよ」と声を掛けられた。幼いながらも精いっぱいの気持ちを見せる姿に、「たまらなくなった。一番つらい」と胸を熱くさせた。
試合で一喜一憂して体全体でサッカーを愛する“大宮の魂”は、「若い選手にはサッカーが一番になってほしい。一番大切なのはサッカー、とぶれないでほしい」と思いを託す。サポーターに胴上げされ、最後の言葉。「7年間ありがとう。大宮が好きだから、帰ってくるぞ。みんなよろしく」