quote 21 7月

 1月22日、最終的な病理検査の結果が出た。「悪性度の低い骨肉腫」だった。翌23日、塚本は両親、兄、チームドクター、トレーナーらと診察室に呼ばれた。阿江医師の暗い表情に不安を覚えた。

 「骨肉腫でした」

 骨を切り取るので、ひざを人工関節に換える必要があること、激しい運動をすると、つなぎ目で折れたり、骨が削られて人工関節が緩んで早く再手術が必要になったりする可能性があるといった説明が続いた。

 「サッカーは、もうだめですか」。そう尋ねるのがやっとだった。しかし、返ってきたのは「ゼロに近い。プロとしては難しい」という言葉だった。

 「俺の足は移植できませんか。俺の骨をあげたい」。とっさに社会人サッカーで活躍する兄・浩史(ひろし=29)が尋ねたが「無理です」との答えだった。

 サッカーができなくなるなんて、考えもしなかった。「夢じゃないのか」。塚本はシャツを頭上にたぐり寄せて泣いた。その後のことは、覚えていない。

 177センチの体を兄に預け、肩を抱かれながら診察室を後にした。診察室を出ると、母・正美(まさみ=56)は待っていた姉と抱き合って泣いた。父がトイレで泣いていたことは、後から知った。


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